歩道橋で会おうね。
先生に連れられ校門へ向かうと、母さんがちゃんとした正装をして、車の前に立っていた。
僕の家に車はない。
一体、誰の車だろうか?
「銀さん、いましたよハルキくん」
「良かったわぁ…。
ありがとうございました」
母さんは先生に微笑み、「さ、ハルキも謝りなさい。ご迷惑をおかけしたんだから」と僕に言う。
…いつもの母さんじゃない。
「いえいえ良いですよ。
ハルキくんが見つかって、良かったですから」
「ありがとうございます。では」
先生と別れ、僕は車に乗り込む。
隣には何故か母さんが乗り込んできた。
運転は一体誰がやるんだ?
運転席を見ると、見知らぬ男性が座っていた。
スーツを着こなした、エリートっぽい人。
「よろしいですか?」
「ええ、お願い」
母さんは力なく笑う。
それに気が付かない運転手は、ニコリと笑みを浮かべ、車が出発する。
「母さん、今からどこへ行くの?」
「もうすぐわかるわ」
母さんはそれ以上話そうとはしなかった。