歩道橋で会おうね。








「おや、転校は嫌かな?
明るそうなハルキくんのことだ。
きっとお友達と別れたくないのかな?

でもハルキくんも知っているよね?
こんな所でわたしと会うんだから。

わたしは名はないが、水川財閥の社長だ。
水川は知名度は低いものの、これから急成長が期待される。
そんな財閥の御曹司になるんだ。
ハルキくんには御曹司の名に相応しい教育を受けてもらう」



水川財閥という名前は知らないけど、御曹司という言葉は知っている。

僕がその、御曹司に?



お金が増えることは良いことかもしれない。

でも、颯天と遊べなくなるのは嫌だ。

僕は先ほどよりもヒドく首を振った。



「…文菜さん、来てもらえますか?」



嘘くさい笑顔を顔に貼りつけたまま、その人は母さんを呼び、部屋を出て行った。




「…追いかけないの?」



ふと羽菜さんが聞いてきた。



「嫌なら嫌って言った方が良いわ。
父さん、普段は優しいけど、自分が決めたことは変えないの。
きっとハルキくんが言わなければ、転校は確実だわ」



羽菜さんの言葉に背中を押され、僕は2人の後を追った。






< 202 / 259 >

この作品をシェア

pagetop