歩道橋で会おうね。
「おや、転校は嫌かな?
明るそうなハルキくんのことだ。
きっとお友達と別れたくないのかな?
でもハルキくんも知っているよね?
こんな所でわたしと会うんだから。
わたしは名はないが、水川財閥の社長だ。
水川は知名度は低いものの、これから急成長が期待される。
そんな財閥の御曹司になるんだ。
ハルキくんには御曹司の名に相応しい教育を受けてもらう」
水川財閥という名前は知らないけど、御曹司という言葉は知っている。
僕がその、御曹司に?
お金が増えることは良いことかもしれない。
でも、颯天と遊べなくなるのは嫌だ。
僕は先ほどよりもヒドく首を振った。
「…文菜さん、来てもらえますか?」
嘘くさい笑顔を顔に貼りつけたまま、その人は母さんを呼び、部屋を出て行った。
「…追いかけないの?」
ふと羽菜さんが聞いてきた。
「嫌なら嫌って言った方が良いわ。
父さん、普段は優しいけど、自分が決めたことは変えないの。
きっとハルキくんが言わなければ、転校は確実だわ」
羽菜さんの言葉に背中を押され、僕は2人の後を追った。