歩道橋で会おうね。







「…父さん、文菜さん。
それは…本当ですか?」

「ハルキくん…聞いていたのか」

「ええ、本当よ」



母さんは開き直ったかのように話し始めた。



「ハルキ、聞いたんでしょう全て。
ハルキが生まれた理由も、ワタシの初恋の話も。
…ワタシがハルキを憎むのは、当然よねぇ?」

「文菜さん!?」

「良いのよ幸雄さん。
どうせいつかはバレることだわ。
羽菜ちゃんにも伝えておかないと」




母さんは、先ほど僕が聞いた話を、全て羽菜さんに伝えた。

どんどん顔が暗くなる僕を見て、母さんは笑う。

羽菜さんも幸雄さんも、何度も「やめて」と言っていたが、母さんはやめなかった。




…言葉は時に、刃となる。

僕は知った。









最悪の形で、僕は幸雄さんと羽菜さんと別れた。

別れるって言っても、ほんの数日の出来事。

3日後には、幸雄さんと羽菜さんが暮らす家へと引っ越す。

地区は変わらないため、僕は小学校卒業までは今の学校へ通うことが決定された。

中学は受験し、進学校へ通うことが約束された。




僕が首を振ることは、なかった。






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