歩道橋で会おうね。







次の日。

僕は朝早くから小野に呼ばれていた。

颯天は風邪で休みだそうだ。




「これを高岡にかけて来い」



小野から渡されたのは、水がたっぷり入ったバケツ。

震える手で受け取る。



「しくじったら、吾妻颯天をいじめるからな?
大事な親友、守りたいんだろ?」

「…」



僕はゆっくりと、高岡さんの元へ向かう。

高岡さんは1人、本を読んでいた。

高岡さんと一緒にいる真島さんは、今日は颯天同様、風邪で休み。

いたら…どんな未来になっていたのだろうか?

水の入ったバケツを持つ僕を、クラスメイトが見る。

高岡さんはお構いなしに本を読んでいる。

…本が、濡れてしまう。





「なぁ高岡」

「ん?何?」




ごめん、高岡。

ごめん―――――…。




僕は水が入ったバケツを、

思い切りひっくり返した―――…。






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