歩道橋で会おうね。
呆然とする高岡さんを放置し、僕は小野ととりまきと共に教室を出る。
きっと教室の中は、関わりのなかった僕が高岡さんへ水をかけたことへの驚きに満ちているだろう。
「ハルキ、ナイスだったな!」
「…」
僕の呼吸は荒れていた。
いくら颯天を守るためとは言え、代償があまりにも大きすぎる。
その場に僕は崩れた。
「こんな所でゲームオーバーになるなよハルキ。
オレが良いと言うまでゲームは続けること。
途中で棄権とか先生にチクったら、颯天いじめるから。
脅しじゃねぇ、覚悟しておけよ」
「…ッ」
それから数日間。
僕らは高岡さんをいじめ続けた。
真島さんは風邪が思ったより長引いているみたいで、なかなか学校に来ない。
正義感が強いと有名な真島さんのことだ。
きっと大事な幼馴染を守るはずなのに。
何故…来ない……?
颯天も最近は来ない。
風邪が長引いているのか?
でも正直颯天には来てほしくない。
だって颯天に、見てほしくない。
僕が高岡さんをいじめる姿を。
だって、颯天は優しいから。
きっと僕が颯天を守るため高岡さんをいじめていると知ったら、颯天がいじめられる。
あの笑顔を、消したくないんだ。
僕が何度も救われた、
あの笑顔に――――…。