歩道橋で会おうね。
…もう、我慢できない。
「高岡さんをいじめて、遅かったけどわかったよ。
いじめはやっぱり良くない。
小野は楽しかったかもしれないけれど、僕はちっとも楽しくなくて、むしろ疲れるばかりだ。
もう…小野に付き合っていけない」
高岡さんをいじめ、僕には大きな生活の変化があった。
常にトップを維持していた成績は落ち、父さんの家へ引き取られてから通っている塾でも叱られっぱなし。
本からも離れていきつつある。
颯天と出会い変わってきた僕の人生が、戻りつつある。
あの、周りに流されていた僕へと。
小野は成績が上がり、先生たちから褒められていた。
小野曰く、いじめたからだそうだけど…。
僕とは正反対だ。
小野の場合、元々成績が悪く、小野の両親もあまり成績に頓着しないらしいから叱られないけど、僕の場合は違う。
成績が下がると、父さんや母さんが怒る。
普通の家庭の親が怒るとは、次元が違う。
父さんと母さんが怒るのは、僕の命が危険だと言っているようなものだ。
テストの点数が1点や2点下がっただけで、殴られたりするんだ。
僕を庇って羽菜さんも殴られる。
それだけは阻止したい。
羽菜さんを守るため勉強を繰り返すものの、すぐに高岡さんの持つ、今にも泣きそうな潤んだ瞳が頭から離れなくて、勉強になんて集中できない。
そんなので成績が上がるものか。