歩道橋で会おうね。
☆☆☆
私はまた、ハルキくんの眠る病室へと足を運んだ。
相変わらず起きる気配はしないけど。
いつか…目覚めてくれるはずだわ。
「ハルキくん…」
私は座って、その寝顔を眺めていたが、立ち上がる。
…変なこと想像しないでよね?
別に私、変態とかではないから。
ハルキくんの顔がかっこいいから、かっこいいなぁって眺めていただけよ?
それよ、うん。
「ハルキくん、聞いて?
アユがね、私の声が出るようになったからって、お祝いに歌を作ってくれたの。
アユが作詞して、作曲はアックンだよ。
…今から歌うから、聞いていてね?」
今日のために、私は頑張って、練習してきたんだ。
「私、いじめられて声が出なくなって、本当に哀しかった。
小野とハルキくんを恨んだ日もあったよ。
でも、アックンが調べてくれた。
ハルキくんが私をいじめた理由。
小野に指図されていたんだね。
ちっともハルキくんは悪くないんだね。
その上いじめをやめるよう、小野に言ってくれたって。
私それ聞いて、凄く嬉しかったよ。
今は誰も恨んでいないよ。
声が出るようになったのは、ハルキくんのお蔭だもんね。
ハルキくんも、辛いこと、沢山背負っていたんだね。
私は当時は不幸だと言っていたけど、私の方がよっぽど幸せだったんだね。
両親は事故で死んじゃったけど、信頼できる親戚や先生方もいる。
アユもアックンも、凄く私を心配してくれて、今でも支えていくれている。
ほんの些細な出来事だけど、幸せなんだね。
ハルキくんに出会えなかったら、私はそのことに気が付けなかったよ。
ありがとう、ハルキくん。
ハルキくんに会えて良かった。
私は、
ハルキくんが、
大好き―――――……」