歩道橋で会おうね。
「ハルキくんに、口止めされた…?」
「ええ。
本当はわたくしがあなた方に、ハルキくんが退院したことさえも教えるなと言われていたのですがね」
「約束を破ってしまいました」と先生は苦笑する。
「ハルキくん、最後に何か言っていませんでしたか?」
「最後に?」
「はい。
伝言みたいなの…頼まれていませんか?」
「…いえ、頼まれていませんね」
「アオちゃん、わたしハルキを探してくるわ!」
「探すって、羽菜さんどうやって!?」
「警察には伝えないわ。
きっと母さんたちは許してくれないから。
ハルキも大事にしたくないだろうし。
アオちゃんは帰って良いわよ。
お家、ここから遠いんだから。
ありがとうねアオちゃん。
見つかったら連絡するわ!」
羽菜さんはニコッと笑うと、病院内で走らないと言うルールを破り、行ってしまった。
「羽菜さんっ…」
「アオちゃん」
振り向くと、先生は手に手紙を持っていた。
「手紙…?」
「ハルキくんが、アオちゃんに渡してくれと、わたくしに」
「え?伝言あったんですか?」
「それだけですよ。
しかしその手紙はアオちゃん宛て。
第3者が読んではいけない、大切なモノです」
先生はそう言ってニヤリと、怪しく微笑む。
もしかして先生、そのために羽菜さんを!?
案外腹黒で策略家らしい…。