歩道橋で会おうね。
アオへ
成宮先生から手紙、受け取りましたか?
受け取ったってことは、僕はいないですね。
僕は全ての記憶を思い出しました。
僕の母親は僕が小学5年生の頃、水川さんと
結婚しました。
だから僕は今、銀遥希から水川遥希へと
名前が変わりました。
銀という名を、アオは忘れることないでしょうね。
だってアオの声を無くしたのが、僕が
原因ですからね。
悪いと思っています。
今でも僕は反省しています。
でもあの頃の僕は、
ただ自分を守ることだけしか
知らなかった。
言い訳ですね。
でも言えるなら、僕はアオに
面と向かって謝りたい。
でも僕と会えば、
アオは5年生の頃の記憶を
思い出してしまうでしょう。
だから、僕は何も言えない。
思いだすことが辛いことを、
僕は今回知ったから。
だから僕は誰にも告げず、
この街から出ようと思います。
でも最後に手紙で良いから、
アオに伝えたかった。
あの頃毎日のように
思っていた、
ごめんを伝えたかったんです。
アオに水川遥希としてでも
再会出来てよかった。
あの歩道橋で。
病室で歌ってくれた、あの歌。
僕は大好きです。
勿論アオのことも。
僕も歩道橋で会った日から、
きっとどこか抜けていたアオに
惹かれていたんだと思います。
もしまた会える機会があるのなら。
歩道橋で会おうね。
水川遥希。
【END】