歩道橋で会おうね。








☆アユside☆




「…危なかったな」

「うん、滅茶苦茶危なかった」



あたしたちは木の陰に隠れながら、安堵の溜息を吐いた。




あのコンビニは、小野照也がバイトしているコンビニだ。

小野は案外記憶力が良いから、アオとハルキくんに気づいてしまうかもしれない。



アオとハルキくんの嫌な思い出が蘇るのは、あたしたちとしても困る。

“彼”のことや、あたしたちが今まで隠し通してきたことが、小野の一言によって明るみに出てしまうかもしれないから。

“彼”のことやあたしたちの隠していることが、アオやハルキくんに知られてはいけない。



「ところで、ハルキは何であのコンビニを避けたんだろうな?」

「わからない…。
野生の勘みたいなヤツなのかな……?」

「ハルキも少しは覚えているのかもな。
小野がハルキにしたコトを―――…」

「え?
ハルキくん覚えているの?」

「前に小野のことを聞いたら、覚えていないと言っていた。
ただ、ハルキの閉ざされた記憶の奥底では、小野のことを覚えているんだろうな」






今までのあたしたちの会話でわかったと思うけど。





水川遥希は、









記憶喪失だ。










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