歩道橋で会おうね。
あたしたちは揃って声のした方向を見る。
「あぁ!盗み聞きはいけないよぉ!
わかっているよねぇ?ハルキくん?」
「別に盗み聞きしたわけではありません。
人聞きの悪いこと、言わないでもらえますか?」
「相変わらず敬語なんだからぁ。
良い加減あたしのこと、お姉ちゃんって呼んでよぉ。
あたしたち、姉弟でしょぅ?」
「……」
相変わらずの冷めた瞳で、ハルキくんはあたしたちを見る。
その…5年前から、何も宿していない瞳で。
「…羽菜さん」
お兄ちゃんが名前を呼ぶ。
「どうしたのぉ真島くぅん」
「俺たち今から話するので、外してもらっても良いですか?」
「わかったわぁ。
早めに帰りなさいねぇ?」
鼻歌を歌いながら、羽菜さんは帰っていく。
…良い人だ。
酔うと少し大変だけど。
「…話って何ですか?」
「気が付いていたんだろ?
俺らがあーちゃんとハルキが別れるまで、後ろをつけていたことを」