歩道橋で会おうね。







いつも左へ行く道を、右へ行ってみた。

右へ曲がって帰れないわけではないけど、遠回りになるからって左へ行っている。

だから今日は、右へ曲がってみよう。




木々が立ち並ぶ道路沿いの道を通る。

私の住む遥華(はるか)市は、田舎でも都会でもない小さな市だ。

お金持ちから噂だと殺し屋までいるとか、危ないのか安全なのかわからない市でもある。

私はもし不審者に出会っても叫べないので、アユは心配して遠回りはしないよう言っている。

全く、私は高校生なんだから。

そんなに過保護にしなくても良いと思うけどなぁ。

まぁ親戚より長く一緒にいる存在だから、色々心配なのかな?




暫く歩いていると、大通りに出た。

向こうへ渡りたいけど、生憎信号機がない。

向こうへ渡る手段は、歩道橋しかない。

確かこの歩道橋、青歩道橋とか言うんだよね。

なんでも作った人の恋人の名前がアオだとか。

「アオの歩道橋だねー」なんてアユが言っていたっけ?




恋人の名前が歩道橋の名前になっているからか、この歩道橋にはジンクスがある。

階段から落ちそうになった少女を支えた少年が、少女の運命を変える人だって。

まぁ本当にそうなるかはわからない。

あくまでジンクス。





その歩道橋を、私は登っていく。

実は私、自分の名前が入っているからか、少しジンクスを信じていたりする。



こんな私でも、好きになってくれる人いるかなって…。

やっぱり私も女子高生だもん。

すこしぐらい憧れちゃうよね。
















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