The second partner ~夢と英雄と雪解けの記憶~
ズッキーニに包丁を入れた瞬間、思わず涙が頬を伝った。




拓也はパエリアが大好きだった。


そして、具材の中でズッキーニが一番好きだと言っていた事をふと思い出す。




こんな些細な事でも思い出してしまう。




―――いい加減に気持ちを切り替えなきゃ……。




1人でいるから思い出す。


だから私は、1人が嫌いだった。




大きなフライパンで作るパエリアは、決して1人では食べきる事ができない。


余してしまうとわかっていても、未だに拓也の好物を作ってしまう自分が本当に女々しい。
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