The second partner ~夢と英雄と雪解けの記憶~
店員のおじさんは雲丹の殻を包丁で叩いて亀裂を入れ、中の黄色い身をプラスチックのスプーンに乗せて私に差し出した。




「そのまま食べてみて。

塩水にもミョウバンにも漬けてないから、雲丹そのものの味がよくわかるよ!」




彼に勧められるまま差し出された雲丹を口に入れる。




「あっ!すごく美味しい!」




思わず口元に手を充てた。


ほっぺが落ちるというのは正にこういう事。




醤油も山葵も付けない純粋な雲丹の味は、強い甘さと軽い苦味が混同する絶妙な味。


こうやって純粋に素材そのものの味を楽しめるのは、これが活きのいいものである証拠なのだろう。
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