The second partner ~夢と英雄と雪解けの記憶~
「じゃあ、お休み。」




「う……うんっ!」




引き止める事はできない。




お互いもう社会人。


最優先すべきことは仕事だから、自分勝手な感情に任せて無理をする事はできないもの。




玄関のドアが閉まり、マンションの通路を歩く俊哉の足音がフェイドアウトしていく。


離れていくその足音に、とてつもない寂しさと切なさを感じた。




「ふぅ~……。」




話を聞いてもらいすっきりしたはず。


それなのにまだ、胸の内には靄が掛かったまま。




晴れないモヤモヤを拭うかのように、私はリビングに戻り、晩酌で使った食器をそそくさと洗い始めた。
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