The second partner ~夢と英雄と雪解けの記憶~
もうここに用はない。


ぐったりとしたアヤの様子を見て、私たちは急いでこの場を離れた方が賢明だと思っていた。




「バイバーイ、オリンピックの人~!」




背後から追ってくる彼女たちの声が聞こえなくなるまで、アヤは下を向き俯いたまま。


そんな彼を心配しつつも、私は他の女の子に黄色い声で話し掛けられるアヤに対し、一種の不安を感じていた。




―――人気者だもんね……。




彼の周りには、男女問わず多くの人が集まってくる。




私はその中の1人に過ぎない。


きっと、彼にとって私は、自分の傍にいてもいなくても変わらないような存在なのだろう。
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