冬恋
コツッコツッ
ついた。
屋上に。
風が気持ちい。
夜の夜景があたしを照らしていた、
このときがきたんだ、
そうおもうだけ。
フェンスを越す…。
風は強くなり、髪の毛が
なびく。
一瞬だけだけど。
ほんの少しだったけど、
あたしが生きた証。
残したい。
そう思って屋上に
彫った文字。
もう迷いはなかった。
最後に、皆の顔を
思い出した。
思い出を、
すべてを、
思い出した。
それがあたしにできる
最後の全て。
あたしは愛されていましたか?
あたしは価値ありましたか?
生きていてよかったですか?
こんな不幸な人生なんて、
本当にあってはならない。
最後に、あたしは
深く深く深く神をうらんで…。
屋上から身を投げた。
恨んで恨んで
夏のもとへ行けないように。
夏のもとへいったら
きっと怒られてしまうよね。
だから、いけないように
神を恨みます。