枝垂れ桜に舞う蝶

「ですねぇ~」


元に戻った私は棒読みに近い返事を返す

総司には槙に話した内の身体能力と治癒能力については教えていない

なんせ、いくら私の作り笑いが解けてきたと言っても

完全に信用に足るとはまだ判断できない

だから、半分だけを明かす

……………まぁ、信用しても信頼するとは限らないけどね


「ちゃんとしたことは分からないんですか?」


「はい、聞かされてないですから」


妖狐になれる蓮華院家の巫女、それが桜狐姫

しばらくはそう思っていて貰おうかな


「人の視線がサクッサクッ刺さってくるのは勘弁なので他言無用で」


「分かっています、桐葉さん」


他言無用と言いながら全て伝えず騙している私とは裏腹に総司は微笑んだのだった
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