枝垂れ桜に舞う蝶
立ち止まったままだった榛輝が発する
「桐葉が言うことの意味は分かってるんだけど実行出来なくて分かってても動けなくて。
………………ほんとにごめん、弱虫で」
俯いている榛輝からは表情は窺えない
私は榛輝に近づき、両手で頬を挟み込み前を向かせる
私は彼の戸惑いが広がる瞳を覗き込んでから目を閉じて額同士を引っ付けた
「お榛は……榛輝は弱虫じゃないよ。お人好し過ぎるのはたまに傷だけど、優しさを捨てては駄目。
優しいのが榛輝なんだから。自分を殺さないで、自分を見失わないで。
そうやって、足掻いていけば何か大切なことに気が付けるはずだから」