妖華にケモノ
「ほぅ」
と男は呟くなりこちらに近づいてくる。
「な..なんですか」
「....」
そして私の真正面に来ると、私の顔を物珍しい顔をしてジッと見だした。
この人、顔が整っていてとても綺麗。
「何なんですか!貴方は!!」
私は耐えられなくなり、彼から少し距離をとろうとしたのだが、その瞬間彼に引っ張られバランスを崩す。
気付いたら彼の腕の中にいた。
「ククっ。そう焦らんでも良かろう」
「はなしてください!!」
彼の綺麗な顔が迫ってくる。
逃げようとしてもガッチリと拘束されているからどうしょうもない。
「やっ!」
接吻をされるのかと思い目を瞑った瞬間。
フッと彼の笑う声がした。
「随分と似ておる」
「え...?」
「いや」
そして何もせず私から離れてくれたが彼のその表情は何処か寂しそうだった。