妖華にケモノ

「とても..きれい」

思わず言葉が漏れてしまった。
すかさず隣の女性が物を言う。

「そりゃそうさ！高尾だよ？あの容姿を使って手練手管を使い、客を一夜で虜にしちまうのさ」

「てれん？？」

「手練手管。客に自分が思った通りの事を言わせるんだよ。アンタも抱かれてみればすぐわかるさ」


先程から一夜や抱かれるという言葉を言っている女性。
よく考えてみれば何かがおかしい。
もしやここは遊郭だろうか。ウワサは耳にしていた。
身体だけの関係、快感を得るためだけに大金を払い男を買う。

「まさか..ぁ。ここは遊郭じゃないですよね」

「ブッ。ハハッ何言ってんだい。正真正銘遊郭だよ」

「なるほど…ってえぇ！！うそっ」

こんな所に足を踏み入れてしまった。
だからお母さんは早く帰ってこいといったんだ。驚きのあまり大声を上げてしまい。周りから注目されるなか三枚歯下駄の地面を剃る音が止まる。