鳥籠の底は朱い道
野性の匂い
――結局朱道は黒馬に何も言えることなく会話は終了した。黒馬はまた、どこかに出かけて行く。
しょうがないので朱道は闇に染まる森の中、飢えた狼のように目を光らせながら木の枝に登っている。
正直朱道は腹を立てている。それは父である黒馬ではなく、弱いとはっきりと言われた自分に対して。
どうしてオレの中にある朱雀の力が目覚めない?
その自問を続けること一時間。
そして回答を探すこと一時間。
朱道は木に登ってからすでに二時間は経っている。もちろん今だに解決はしていない。
「あぁクソ!」
自分が乗っている木を叩き、大きく揺られながらも怒りを発散する。
最近は戦いもしていないので朱道は文字通り“飢えている”のだ。
だからこうして獲物でも見つけられないかと、珍しく夜空の下に朱道はいる。
――だが、
「痛ってぇな……」
怒りを抑えられず、結局二回目に木を叩く。バキッという折れる音と共の朱道は落下した。
仰向けの状態で広がるのは、ムカつくほどに輝く星空。
ムカつくはずの星空。だが朱道は次第に落ち付きを取り戻し、もう少しだけ夜空を眺めた。
ムカつくんだよな、夜空って。
なんでこうも光ってやがる。
「あぁぶっ壊してぇな」
無茶難題の願望。
だけど本当に壊したいのは夜空という単体ではなく、自分の中にある夜空を見て冷静になってしまう自分。
結局朱道はその場で一日を過ごした。
しょうがないので朱道は闇に染まる森の中、飢えた狼のように目を光らせながら木の枝に登っている。
正直朱道は腹を立てている。それは父である黒馬ではなく、弱いとはっきりと言われた自分に対して。
どうしてオレの中にある朱雀の力が目覚めない?
その自問を続けること一時間。
そして回答を探すこと一時間。
朱道は木に登ってからすでに二時間は経っている。もちろん今だに解決はしていない。
「あぁクソ!」
自分が乗っている木を叩き、大きく揺られながらも怒りを発散する。
最近は戦いもしていないので朱道は文字通り“飢えている”のだ。
だからこうして獲物でも見つけられないかと、珍しく夜空の下に朱道はいる。
――だが、
「痛ってぇな……」
怒りを抑えられず、結局二回目に木を叩く。バキッという折れる音と共の朱道は落下した。
仰向けの状態で広がるのは、ムカつくほどに輝く星空。
ムカつくはずの星空。だが朱道は次第に落ち付きを取り戻し、もう少しだけ夜空を眺めた。
ムカつくんだよな、夜空って。
なんでこうも光ってやがる。
「あぁぶっ壊してぇな」
無茶難題の願望。
だけど本当に壊したいのは夜空という単体ではなく、自分の中にある夜空を見て冷静になってしまう自分。
結局朱道はその場で一日を過ごした。