鳥籠の底は朱い道
椿が本気だと感じとったのは黒馬。
これ以上は何も言うまいと、部屋の扉から出ていく。
だがそんな中でも朱道は未だに戦いに構えを取らない。
それは余裕もあるが、あまりに馬鹿げた椿の言動に未だ殺し合いというものを感じ取っていないから。
「……はぁ、私が女だから戦う気がないの? だったら残念。相手の力量も分からないようじゃ子供も同然」
「はっ、よく言うぜ。だったらそんな弱そうな構えからオレに一撃でも当ててみろよ?」
朱道は両手を広げ、まるで無抵抗を示し、自分に一撃でも当ててみろと言う。それははっきりと椿が女だから舐めている言動。
表情が重くなっていく椿だが、それは朱道があまりにも相手の力量を分かっていないから。
朱道は今、正にこの状況でも椿に“殺される”ということに気が付いていない。
だからせめて、少しでも本気で戦うようにまずは挨拶代わりの一撃を放つことにした。
構えを解いてゆっくりと歩み寄るがその姿はまるで無防備。
それは朱道と同じくらい。
――だが、朱道は一瞬で構えていた。そして背後から襲いかかってきた椿の一線の突きをギリギリで防御する。
「な、に……?」
朱道は驚くしかなかった。
それは自分は構え防御出来たからじゃない。むしろ逆であり、朱道は防御しようなどとは思っていなかった。
だけど一瞬の時間のコマで消えた椿の気配により、体が本能的にかってに防御の形を“作らされた”のだ。
それほどまでの気配は流石だが、何よりもそんな気配にでも自分の意思が負けたことに驚きと苛立ちを感じている。
立ち尽くす朱道に対し、椿は自分の一撃で朱道にショックを与えられたことを実感し、これでまともに戦えると安著の息を漏らす。
――だが、それは違った。安著などない。確かに椿はわざと朱道に防御させるように気配を送ったが、そのおかげで朱道の獣が目を覚ます。
これ以上は何も言うまいと、部屋の扉から出ていく。
だがそんな中でも朱道は未だに戦いに構えを取らない。
それは余裕もあるが、あまりに馬鹿げた椿の言動に未だ殺し合いというものを感じ取っていないから。
「……はぁ、私が女だから戦う気がないの? だったら残念。相手の力量も分からないようじゃ子供も同然」
「はっ、よく言うぜ。だったらそんな弱そうな構えからオレに一撃でも当ててみろよ?」
朱道は両手を広げ、まるで無抵抗を示し、自分に一撃でも当ててみろと言う。それははっきりと椿が女だから舐めている言動。
表情が重くなっていく椿だが、それは朱道があまりにも相手の力量を分かっていないから。
朱道は今、正にこの状況でも椿に“殺される”ということに気が付いていない。
だからせめて、少しでも本気で戦うようにまずは挨拶代わりの一撃を放つことにした。
構えを解いてゆっくりと歩み寄るがその姿はまるで無防備。
それは朱道と同じくらい。
――だが、朱道は一瞬で構えていた。そして背後から襲いかかってきた椿の一線の突きをギリギリで防御する。
「な、に……?」
朱道は驚くしかなかった。
それは自分は構え防御出来たからじゃない。むしろ逆であり、朱道は防御しようなどとは思っていなかった。
だけど一瞬の時間のコマで消えた椿の気配により、体が本能的にかってに防御の形を“作らされた”のだ。
それほどまでの気配は流石だが、何よりもそんな気配にでも自分の意思が負けたことに驚きと苛立ちを感じている。
立ち尽くす朱道に対し、椿は自分の一撃で朱道にショックを与えられたことを実感し、これでまともに戦えると安著の息を漏らす。
――だが、それは違った。安著などない。確かに椿はわざと朱道に防御させるように気配を送ったが、そのおかげで朱道の獣が目を覚ます。