鳥籠の底は朱い道
朱道は態勢を低くして、いつでも戦闘を受けられる姿勢になる。
だが椿は、自らの言葉が失言だったとため息をつく。
「そうか、今の挑発は私が悪いようだ。間違っても私は君とは対等に戦うよ。そんな卑怯なまねで勝たなくても、対等にやっても負けないだろうから。それに、そんなに強くなりたいなら、やはり私の訓練を受けたらどうだろうか」
「……ムリだな。オレは殺し合いでしか強さを見出さない」
「そう……ならそれでもいいだろう。君は殺し合いをすればいいけど、私は君を育てるつもりでいく」
「――け、好きにすればいい。だけど負けた時の言い訳にするなよ」
「面白いことを言う。私の敗北は死ではないのかな? だから、文句は一切言わないよ」
減らず口を言う椿だが、その瞳の奥にある輝きは本当に朱道を育てるつもりだろう。
そうして、朱道にとってのリベンジの殺し合い、椿にとっては神素を目覚めさせるための訓練が行われた……。
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