鳥籠の底は朱い道
『ほざくのはいいがお前は俺が前に言った一生分の負けを受けたか? そうでなくてはこの力解放することは不可能。だから俺はその体を奪う意味はない』
馬鹿かテメェは?
一生分の負けだと? オレの敗北は死だ。オレは確実に椿に殺された。これが一生分の負けじゃなくてなんだって言うんだよ。
『分かっているじゃないか。だが、お前は負けたというなら、どうしてこうやって話していられる? 死んだのだろう?』
それがオレの力であり、お前の力なんだろ? 死んでも復活する。そうゆう力でオレは今ここにいる。
『理解力というよりも悟りだな。お前は一度死んだことにより朱雀の力を得た。だから今度も俺の力を得るために死なないといけない。だが、これっきりだ、次はない。それと一生分だと、次は死なないという信念がないと意味はないからな』
次に死なない? もう二度と死ぬか。ふざけるなよ。
『まぁお前の意見などどうでもいい、どうあってもこの先は俺が戦ってやる』
朱道がどう願おうともこの声は朱道の体を乗っ取る。今の段階ですでに奪うための成長を遂げ、条件を満たしたのだから。
…………け。
朱道は何も言わない。そして逆らおうともしない。
どうせ乗っ取られると諦めたのだろうか。それほど素直に朱道は体を声に受け渡してしまった……。
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