鳥籠の底は朱い道
「――クロいるか」
ただ縋るような声で朱道はクロを呼ぶ。
そして召喚でもされたかのようにクロは当たり前に現れた。
「にゃ?」
珍しくクロは声を鳴らしている。
恐らく朱道の様子がおかしいことに気が付いたのだろう。
朱道は本当に迷っている。これからどうするのが一番いいのかを。どうすればクロのような自由な生き方を見つけらるのかを。
そうなるとやはりクロの生きる理由が知りたい。
「クロ、お前はどうして生きたい?」
「……」
猫に話しかけるなど無意味だと分かっている。それに本当は分かっている。
これは誰でもなく自分の問題。誰か教えられるのではなく自分で見つけ出さないといけない問題であることだと。
そう悩み、考えているといきなり襲いかかってくるクロ。
反応も出来ず朱道は向かってきたクロに視界を奪われた。
「なっ」
一瞬のことで振りほどこうとしたが、その際にクロは朱道の頬を鋭い爪で斬り裂いていた。
まるで赤い涙を流すかのよう血は流れてる。
振りほどかれたクロの目には朱道を敵視し、戦いを促すような殺気が色を帯びている。
何がクロをこうさせたのか分からない。けど敵視するのならば、自分の前に立ちはだかるのならば……殺す。
その考えは本能的に過ったのだが、すぐに考えを変える。
本当にオレはクロを殺したのだろうか。
クロを殺さないとオレは生きていけないのだろうか。
……オレはクロを殺したくはない。だと言うのにどうしてクロを殺そうと考えていた?
いやそれだけじゃない。オレの体はクロを殺すように動いてる。
ただ縋るような声で朱道はクロを呼ぶ。
そして召喚でもされたかのようにクロは当たり前に現れた。
「にゃ?」
珍しくクロは声を鳴らしている。
恐らく朱道の様子がおかしいことに気が付いたのだろう。
朱道は本当に迷っている。これからどうするのが一番いいのかを。どうすればクロのような自由な生き方を見つけらるのかを。
そうなるとやはりクロの生きる理由が知りたい。
「クロ、お前はどうして生きたい?」
「……」
猫に話しかけるなど無意味だと分かっている。それに本当は分かっている。
これは誰でもなく自分の問題。誰か教えられるのではなく自分で見つけ出さないといけない問題であることだと。
そう悩み、考えているといきなり襲いかかってくるクロ。
反応も出来ず朱道は向かってきたクロに視界を奪われた。
「なっ」
一瞬のことで振りほどこうとしたが、その際にクロは朱道の頬を鋭い爪で斬り裂いていた。
まるで赤い涙を流すかのよう血は流れてる。
振りほどかれたクロの目には朱道を敵視し、戦いを促すような殺気が色を帯びている。
何がクロをこうさせたのか分からない。けど敵視するのならば、自分の前に立ちはだかるのならば……殺す。
その考えは本能的に過ったのだが、すぐに考えを変える。
本当にオレはクロを殺したのだろうか。
クロを殺さないとオレは生きていけないのだろうか。
……オレはクロを殺したくはない。だと言うのにどうしてクロを殺そうと考えていた?
いやそれだけじゃない。オレの体はクロを殺すように動いてる。