僕等の恋
しばらくの間、目の前にいる人物を見ながら呆然としていたと思う。
一瞬、教師?と浮かんだ考えは、あまりに若すぎた為に消え去った。
"ねーえっ、湊くーん!"
聞いてる?と顔の前まで近づいた人物にハッとした。
"‥何、あんた"
あ、初対面"あんた"って呼んだな、俺。
"お前"よりはマシだろ。
その人物はニカッと笑うと
"澤田雪乃、雪乃でいいよ!ちなみに二回生だから年上よ?"
楽しそうに喋りながら前の席に座った。
案の定、現状を把握出来ずにいた俺だけど、そんなのお構いなしに雪乃は喋り続けた。
わりと真面目な生徒が集まっている、この教室中の控え目な視線を受けたのは言うまでもない。