僕等の恋



学校帰りだと言った葵は雪に気付き


「湊の彼女さん!初めまして、葵ですー」


と…楽しげに話すその頭を俺は軽く叩いてやった。



「いったーい」



そう嘆きながらもどこか楽しそうな葵を、雪乃はケラケラ笑いながら見ていた。



それからお互いを紹介して、いつの間にか盛り上がる女同士の話に入り込めず、俺は一人バイクにもたれ掛かって黄昏れる始末。


自販機で水を買って飲んだり、海を眺めたり。



女ってのは世間話が好きなんだな…なんてボケーっと考えてると、しばらくして葵が戻ってきた。



「じゃ、あたしそろそろ帰るよ」


そう言って雪乃にも別れを告げ、俺の横を通り過ぎる時



「罪な男‥」


と…、吐き捨てられた。


『……』





ほんと、女って恐い。
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