記憶と。
中学1年の春。
入学式が終わり、僕は自分の教室へ向かった。
担任になったのは威勢のいい、体育の先生だった。
僕の実家はとても田舎で、中学校といっても1学年で70人程度しか生徒がおらず、クラスも2つしかなかった。
それも3つの小学校が集まってその程度の人数である。
もちろん田舎なので小学校の同級生はみんな同じ中学校だった。
中学は1クラス35人分けで、自分が小学校で仲の良かった友達もたくさん同じクラスになった。
そして当たり前のように最初に班分けが行われた。
黒板に先生が明らかに適当なアミダを書き始めた。
1人ずつがあみだの上に名前を書いていった。
それなりに僕もわくわくしながら、友達と一緒になるように祈っていた。
が、結果は6人班なのに自分の知り合いは一人もいなかった。
たとえ1学期に1回班を変えるといっても、それは最悪のスタートだった。
先生の自己紹介が終わり、生徒の自己紹介が始まった。
僕の班の順番も当たり前のように回ってきた。
知ってる人間が多いなかで、いまさら自己紹介する必要もないだろうと、適当に考えていた。
「河野博之です。趣味は色々です。」
みんなそれなりに手を抜いて自己紹介をやっていたが、僕は浮くほど適当だった。
そしていきなりまだ会って1時間も経っていない担任に怒られ始めた。
小学校が同じだった友達はげらげら笑っていた、そして僕の班員は、みんな気まずそうだった。
と思ったら、一人だけクスクスと隣の女の子が笑っていた。
僕はなんだか恥ずかしい気持ちになった。でもなんだかうれしくもあった。
一通り怒られて、さっき笑っていた女の子の番になった。
「高木綾子です。趣味は色々です。」
まったく同じことを言われた僕は唖然とした。
そしてさっきまで笑っていた友達も、怒っていた先生も、みんなが唖然としていた。
漫画の中のような事で、あまりにありえないことで、教室が一瞬静まりかえった。
そしてその女の子はまたクスクスと笑い始めた。
ハッ、と先生が気が付き、やられたよという顔をしながら自己紹介を続けさせた。
しばらく女の子は僕を見ながら笑っていた。
僕はいきなり知らない子に馬鹿にされた感じがして、ちょっと膨れていた。
入学式が終わり、僕は自分の教室へ向かった。
担任になったのは威勢のいい、体育の先生だった。
僕の実家はとても田舎で、中学校といっても1学年で70人程度しか生徒がおらず、クラスも2つしかなかった。
それも3つの小学校が集まってその程度の人数である。
もちろん田舎なので小学校の同級生はみんな同じ中学校だった。
中学は1クラス35人分けで、自分が小学校で仲の良かった友達もたくさん同じクラスになった。
そして当たり前のように最初に班分けが行われた。
黒板に先生が明らかに適当なアミダを書き始めた。
1人ずつがあみだの上に名前を書いていった。
それなりに僕もわくわくしながら、友達と一緒になるように祈っていた。
が、結果は6人班なのに自分の知り合いは一人もいなかった。
たとえ1学期に1回班を変えるといっても、それは最悪のスタートだった。
先生の自己紹介が終わり、生徒の自己紹介が始まった。
僕の班の順番も当たり前のように回ってきた。
知ってる人間が多いなかで、いまさら自己紹介する必要もないだろうと、適当に考えていた。
「河野博之です。趣味は色々です。」
みんなそれなりに手を抜いて自己紹介をやっていたが、僕は浮くほど適当だった。
そしていきなりまだ会って1時間も経っていない担任に怒られ始めた。
小学校が同じだった友達はげらげら笑っていた、そして僕の班員は、みんな気まずそうだった。
と思ったら、一人だけクスクスと隣の女の子が笑っていた。
僕はなんだか恥ずかしい気持ちになった。でもなんだかうれしくもあった。
一通り怒られて、さっき笑っていた女の子の番になった。
「高木綾子です。趣味は色々です。」
まったく同じことを言われた僕は唖然とした。
そしてさっきまで笑っていた友達も、怒っていた先生も、みんなが唖然としていた。
漫画の中のような事で、あまりにありえないことで、教室が一瞬静まりかえった。
そしてその女の子はまたクスクスと笑い始めた。
ハッ、と先生が気が付き、やられたよという顔をしながら自己紹介を続けさせた。
しばらく女の子は僕を見ながら笑っていた。
僕はいきなり知らない子に馬鹿にされた感じがして、ちょっと膨れていた。