あなたの隣に私はいない。
その後弘生さんが話してくれた相談は部員一人一人のスキルアップについてだった。
シュート率とか、ディフェンス率だとか、そういうものをまとめてほしく、できれば部員に分かりやすくしてほしいと言うことを頼みたかったそうだ。
私だけを読んだ理由は先ほどの理沙が苦手だという理由だけでなく、弘生さんの言葉を借りると、「木野さん最近部活中暇そうだし…、暇っていうと失礼かな、手持ちぶさたって感じが漂っててさ、木野さんならやりたいって言うだろうなって思って。」だそうだ。
弘生さんは部活中に私たちのことも気にしてくれているなんて初知りだった。
部活中は自分のことで精一杯になっている人がほとんどなのに、やっぱりこの人はすごい。
それに、新しいことをしてみたいと思っていたので、弘生さんからの提案は私にとってタイムリーな悩みを解決するものだったのに加えて、わたしに頼んでくれたことでなんだか認められているような気がして、わくわくしてきてしまった。