あなたの隣に私はいない。

弘生さんがやりたかったのは部員の名前の入力だったようだ。

「パソコン苦手なんだよなぁ…」

弘生さんはそう呟きながらもカタカタとキーボードを鳴らしている。

いきなり来た秋仁さんの家にはもちろんパソコンは一台しかなかったので、弘生さんだけがパソコンに向かっていることになる。

「あの〜。
わたしやりましょうか?
わたしの仕事だと思いますし…。」

弘生さんにそう声をかけるけれど、集中しているのか無視しているのかわからないけれど、返事がない。
代わりに聞こえてくるのは部員のフルネーム。
入力しながらブツブツ呟いているようだ。

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