あなたの隣に私はいない。


秋仁さんの家に来てからなにもできていないし手持ち無沙汰なので、どうするか困惑気味だ。

もう一度声をかけてみようかと口を開いた時。


「飽きたらきっと変わってくれっていってくると思うよ。」


秋仁さんがそう言いながらわたしの目の前に腕を伸ばす。

「新しいこと好きだからやりたいんだよ。弘生は。ほんとに子どもっぽいよなー。」

そう言いながら苦笑いを浮かべている。
その苦笑いはなぜか温かみを感じた。

秋仁さんは弘生さんの親みたいなことを時々言う。
ほんとに弘生さんのことをよく知っているなと感心する。

秋仁さんにそれを言ったらきっとまたあの苦笑いを浮かべながら「やめてくれ。」って言うんだと思う。
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