あなたの隣に私はいない。




「はい、ありがとうございます…!」

そう言いながら先輩の後についていった。


この先輩、誰なんだろう?
そんなことを思っていたけど、自分も名乗っていないし、聞くにも聞けない。


「あ、俺、弘生っていうんだ。
よろしくな?」

そう先輩は言って、微笑んだ。


弘生、先輩。
なんて心の中でリピートしてみたりした。
良い名前だ。
この男の先輩らしい名前をしている。

「わ、私は木野凛です!
ご迷惑をお掛けするかもしれませんが、よろしくお願いします…!」
自分も名乗らなければと慌てて名乗ったけれど、なんだか変にはりきった言い方になってしまった。

…………あー、絶対、こいつ大丈夫かな、って思われてる…。

< 5 / 25 >

この作品をシェア

pagetop