《詩集》虚構の復路
霖雨の手紙
『霖雨の手紙』
塞がったはずの傷が
前触れもなく開く
何故だと熟考するより先に
眼裏で気泡が弾けて
ブラックアウト
鼈甲色の照明が輝いて
人の輪郭を暈して消えた
焼けるような痛みに眉をしかめて
長く寒い夜の始まりに
焦ったのは僕
深く底へと沈む意識と
泥みたいな陰気な感情
霖雨の気配に足を捕られて
落ちていく
窓の外で泣いてた君は
雨が降り出すとくすりと笑って
濡れた手紙を僕に残した
塞がったはずの傷が
前触れもなく開く
何故だと熟考するより先に
眼裏で気泡が弾けて
ブラックアウト
鼈甲色の照明が輝いて
人の輪郭を暈して消えた
焼けるような痛みに眉をしかめて
長く寒い夜の始まりに
焦ったのは僕
深く底へと沈む意識と
泥みたいな陰気な感情
霖雨の気配に足を捕られて
落ちていく
窓の外で泣いてた君は
雨が降り出すとくすりと笑って
濡れた手紙を僕に残した