本気の偽りの恋。
「笑ってるじゃないですか!(笑)
……実は俺、中学の時付き合ってた人がいたんです。」
「…うん。」
急に涼くんが真面目な顔でどこか一点を見ながら
ポツリポツリと話し始めた。
「告白されて、付き合いだして、1ヶ月、
続かなかったのかな。
少しずつ、好きになってたのに
ある日突然言われたんです。」
涼くんはすごく寂しそうな顔をしていた。
「なにを…言われたの?」
「ほら、俺、野球やってるじゃないですか
毎日自主練してて、手に他の人より
マメが沢山あったんですよ。
それが気持ち悪いから別れようって。」
「ひどっ…」
「そんときは、野球が嫌になりましたね!
まさか、あんなこと言われるなんて。ははっ」
今にも泣きそうな顔で話し続けた。
「でも、それだけだったらよかったのに、
後々周りから聞いたんですけど、
どうやら、好きな人に近づくために
利用されてたみたいんです、俺。あは」