神さまはたまご様
プロローグ
突然だが、俺は神など信じちゃいねえ。世界には色々な宗教があるが、その全部の神が本当にいるんだったらもうとっくに世界は壊れている筈だしな。

俺が信じるって言ったら化学的なことくらいだからもうとっくに小学生のような夢は捨ててるってわけでそれはもう俺が中学3年になりかけてるっていう確かな証拠である。

いたら見てみたいって感じのツチノコみたいな感じ。それが俺にとっての宗教なのさ。だからわざわざそんなもん探そうなんてアホらしい考えなんてさっさと捨てちまうし暇があったら映画にでも行く。それが今の中学生って奴なのさ。

まあ、だから俺はごく普通に毎日を過ごし、吹奏楽は幽霊部員として過ごしてきた。なんせ全校生徒が37人の小さな学校で部活は絶対入らなくてはいけない。しかも陸上部と吹奏楽部しかないんだからこっちに入るのはあたりまえだ。

ついでに俺はこの年で1人暮らしである。親は2人とも仕事でイギリスだし、おばさんも忙しいため滅多に家には来ない。だから俺は嫌に広い家に1人でいるってわけだ。

「千鳥。トイレ行くぞ。」

「はい。」

俺には秘密がある。放課後になると必ずトイレに入り本当の自分になる。

「持ってろ。」

ついでに俺と一緒にトイレにいるのは本人自称俺の親友の栗栖千鳥だ。誰に対しても敬語で、笑みを絶やさない千鳥はリボンをふわりと結んだひとつ縛りの髪で俺の隣、便器を挟んで隣に立っている。

長いカツラをはずし、制服のリボンをネクタイに変え、ブレザーのボタンを外す。そしてスカートをズボンに履き替える。完璧。

「そうしていると本当の男の子ですね。」

「うるさいぞ。」

そう、俺は本当は女だ。 


< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop