偽りの小悪魔ガール
『ガバッ』と
今まで体に掛かっていた重みも全て一瞬にして消え
その勢いで倒れそうになった体は
大きななにかに支えられて、あたしは
ぎゅっとつぶった目を開けた。
「大丈夫か?」
するとそこには
すごく端正な顔立ちをした男があたしを見下ろしていた。
「えと...はい」
さっきの先輩はというと、その場に倒れて
気を失っていた。
「...」
あたしがこの場を理解できずにいると
彼はあたしをふわっとお姫様だっこし
歩き出した。
...えっと...まって、どういうこと
目の前には女の子みたいに綺麗な肌をして
女の子みたいにくりくりした瞳と長い睫毛
鼻筋は綺麗で外国人みたいに高い。
ふわっとした黒髪は少し目にかかっていて
歩くたび前からの風にふかれ
綺麗な二重が見えてはまた隠れている。
...なんなんだろう...
っていうか...だれ。
動揺を隠せないまま保健室に着くと
優しくあたしをベッドに下ろした。