偽りの小悪魔ガール
しばらく続いた沈黙を破ったのは...
彼だった。
「送ってくよ、もう大丈夫?」
「へっ?」
彼はあたしを見てから立ち上がり
近づいてくるとちょっと身をかがめて
あたしの顔を覗き込んできた。
...ドキッと胸が高鳴る。
なんなの...ほんとに、変だよあたし。
それに...こんなにドキドキさせられてばっかりって
なんだかはじめてでちょっと...ムカつく。
けど...なんか嫌じゃなくて、2人でいるこの空間が。
「どうした?」
「あっいや」
しばらく彼の顔を見てしまったからか
彼は不思議そうにあたしを見てから
「もう暗いし、送るよ」
そして保健室のドアをあけ、
振り返る。
...あたしを、待ってるってことだよね?
あたしはサッとスカートをなおして起き上がり
彼に駆け寄る。
思っていたより身長が高くて見上げてしまうその
感じが...なんだか、すごく落ち着いたんだ。