偽りの小悪魔ガール
たった10分の道のりが、
いつもよりすごく早く感じた。
「ここ...だから」
遠慮がちにそう言ってあたしは彼を見上げた。
「あっわかった、んじゃあな」
彼は優しく微笑むと、鞄を持ち直して
着た道を引き返す。
「あっあの!!!」
「ん?」
けど気がつくとあたしは大声で呼び止めていて
少し離れた場所から振り返った。
えっまって、あたしってば何してるんだろう...
「あっ....ありがとう!」
お礼を言い忘れていたことを思い出して
そう叫んだ。
すると彼はまたニコッと笑って頷くとそのまま
くるっと向きを変えて歩き出した。
曲がり角まであたしは彼を見送った。
....あたしってば、変なの。
1人になった道で空を見上げた。
....あああああ!!!!!!!
やばい!!!!美姫のこと待ってたのに!置いてきちゃった!!!!!
あたしは一気に現実に戻ったように
家の中に走りこんだ。