偽りの小悪魔ガール
「おはようっ友里ちゃん」
「友里ちゃん可愛い~!」
「今日一段と美人!!」
カフェの飾りに施された教室に入るなり
一気に注目の的になるのは、あたしの日課。
「え~そうかなぁ?ありがとうっ」
小さく肩をすくめて照れ笑いを返すと
「「かわいい!!」」
いい加減、お世辞でもしつこいその台詞が
かえってきた。
まぁ、一段と可愛いのも同然よね?
だって、今日は綺麗な艶のあるロングヘアーを
わたあめのようにふわっふわに巻いて
いつもはストンとまっすぐ下ろしている前髪も
くるっと巻いて横に流す
スペシャル可愛いあたしだもん。
「友里~トイレいかない?」
「いいわよ、あっじゃあみんなまたあとでねっ!」
あたしは机の周りに集まる女子に手を振ってその場をあとにした。
「はぁぁぁ...」
「朝からお疲れ友里さん」
誰もいない西校舎の女子トイレ。
一気に肩の荷が下りたようにあたしは
便器のふたの上に腰掛けて
髪の毛をとかす美姫をみた。
「あたし、美姫みたいになりたいわ」