偽りの小悪魔ガール
まさか....また会うなんて。
しかも昨日の今日....ど、うしよう。
明らかに笑っていないその目を向けられて
あたしはひやっと嫌な予感がした。
でもここは昨日と違って、すごい人ごみ。
叫べば誰だって気づく。
いや、そんなことしなくったって
さっきからジロジロと通りすがりの人に見られる。
「あれ友里ちゃんだよね」
「やっぱり可愛い」
「隣にいる人彼氏?!」
...だから、平気よ友里。
冷静に言葉で突き放してやりなさい
自分にそういいかけ、あたしは隣に腰掛けた先輩と目を合わせた。
「友里ですけど、なにか?」
あたしの一言に「はははっ」不気味に笑う。
...なによ。
「面白いねぇ友里ちゃん、もしかして昨日のこと忘れちゃった?」
「それがなんでしょう」
「フッ、まさか忘れたとは言わせないよ?」
「先輩は昨日倒れましたよね?そのことでしょうか」
「ははは...ずい分生意気な口調だなぁ~」
「もう、いいでしょうか。あたし用事がッ....」
「ついてこいよ」
「キャッ...んぐっ...」
咄嗟にでた小さな悲鳴は、このにぎわう中で
少しも響かないまま 一瞬にして人のいないところへ連れてこられたあたし。
....どくんどくん
大丈夫、もう少し冷静に....。