偽りの小悪魔ガール
ゆっくりと目を開けてみれば
「っ....」
そこには先輩の両手を掴む
昨日の彼があたしを守るように立っていた。
「またキミ?きみはなんなの?邪魔なんだけど」
先輩は「離せよ」と掴まれた腕を振り払って
キッとにらむように彼を見た。
....怖い、とても怖い。
「邪魔なのは先輩です、俺の彼女に手出さないでもらえますか?」
え、かのじょ...?
あたしは目の前に立つ彼の後姿を見上げた。
「はぁ?あ、確かきみさ転入生らしいよね?3年でも噂になってるよイケメンがきたって。なに、調子に乗ってんの?」
「いえ全く、ただ人の女に手出すなって言ってんの」
彼が1歩も引かない先輩に少し口調が荒くなると
先輩は不気味に微笑んで彼の胸倉を掴んだ。
「キミ達2人とも先輩に対してずいぶんと生意気だよね?しかもさ、有名人のキミ達に恋人できたら噂なんてあっという間に広まるはずなのにな~聞いたことぜ?」
すると彼は「はぁ」とあからさまに大きなため息をつくと
くるっとあたしのほうに振り向いた。
重なり合う視線。
「えっ....な、なに..」
相変わらず端正なその顔に
自分らしくないと思いながらも
ドキッとしてしまう。
するとその綺麗な顔は
....え、まって
少しずつあたしに近づく...