偽りの小悪魔ガール
「や、山本君!!」
あたしは屋上まできたところで
掴まれた腕を振り払った。
「あ、ごめんね西条さん」
「あたしたち、付き合ってないでしょ?」
真剣な眼差しで山本君を見る。
すると少し頬を赤くして1歩近づいてきた。
「うん、咄嗟に嘘をついたのはごめんね。でも俺、西条さんのこと好きなんだ。付き合って欲しい」
...やっぱりね、こうなるのは分かっていた。
落ちない男子なんていないもの。
「気持ちは嬉しいけどあたし、山本君とは付き合えない」
「付き合ってからでも、少しずつ俺の事好きになってくれるのでもいいんだ」
「でも...」
「俺は待つよ、西条さんのこと。ずっと」
そう言って微笑む山本君。
...悪い人じゃないってことくらいわかってる。
でも何故か山本君と付き合う自分が想像できない。
「ちょっと、なにしてんの?」
すると背後から声がして振り向くと
「は、早見くん...」
「うんと、キミ誰?」
そこには壁によりかかる早見くんが立っていて
あたしをチラッとみてから
あたしの前に立って山本君を見る。