偽りの小悪魔ガール
「俺は西条さんと同じクラスの山本、きみは?」
「俺?俺は友里の彼氏。」
「えっちょ...っと」
「そうなの?西条さん」
驚いた表情で早見くんの後ろにいるあたしを
覗き込む山本君。
え...どうすればいいの。
するとくるっと振り返ってあたしを見下ろす早見くん。
早見くんは山本君に背を向けているから
あたししか早見くんの顔は見えない。
そして怖い目つきであたしを見る。
あ....これ、頷けってことだよね。
何も答えないあたしにイラついてる....
でも、山本君と付き合えないのは事実。
上手く断りきれないし
ここで『かりそめ』の力....借りていいわよね。
あたしは小さく頷いてから
早見くんの前に出て山本君を見た。
「実は本当なの、あたし早見くんと付き合っているの」
「そっか....。それは仕方ないね」
あら?案外引き下がるの早いのね...
まぁ、それもそうか。
早見くん相手ならきっと誰だって...。
「言わなくてごめんね山本君」
「いや、良いんだ。でも俺...」
「ん?」
「俺、西条さんのことそんなに簡単に好きになったわけじゃないんだ。だから、簡単に諦めることも出来ない。」
「....」
「俺、いつか西条さんが見てくれるように頑張るよ。」
「山本君...」
「まぁ、それだけ。文化祭のときはありがとう。」
それだけ言うと山本君は屋上から足早に出て行った。