偽りの小悪魔ガール


「あれ?友里どこか行くのかい?」


お兄ちゃんはあたしの大荷物をみてそう言った。


「あ、そうなの今日から2泊3日の合宿で」

「そうか、入れ違い残念だなぁ。あ、送ってやるよ」

「え?」


お兄ちゃんはニコッと微笑んでから

あたしの荷物を持った。


「車で来たんだ。ほら、いくよ」

「あ、うん!ママいってくるね!」

「要の運転なら安心ね~よかったわぁ」


あたしをヒラヒラと手を振って家を後にした。


「学校の前でいいんだろ?」

「うん、そこからバスで行くから」

「わかったよ」



ふとお兄ちゃんの横顔を見上げる。


...妹のあたしですらカッコイイと思うもん


これはモテるわよねぇ。


「お兄ちゃん彼女いるの?」

「え?いきなりなんだよ(笑)」

「いやちょっと気になって(笑)」

「今はいないよ。」

「そうなの」

「友里は?」

「え?」

「彼氏いるのか?」

「あー...まぁ」

「まぁってなんだよ。けど友里のこと知ってるやつ俺の大学にもいるくらいだからな、さぞかし学校では騒がれるだろ?」

「い、いやまぁまぁね?けどお兄ちゃん紹介してってたまに言われるのよ?」


お兄ちゃんもあたしと同じ高校だった。

あたしと同じくらい学校では一際目立つ有名人だったらしく

ファンクラブがあったっていうのは有名な話。


「ん、ついたよ」

「ありがとう!」


お兄ちゃんはトランクから荷物を出して

あたしのドアをあけてくれた。


妹に対してもレディファーストがちゃんとできるなんて...

あたしは自然とそれをこなすお兄ちゃんを尊敬する。



「おはよう、美姫」

「ちょっ友里ぃ!あれ、要さん?」

「そうよ」

「いやぁー!久しぶりにお見かけしたけど相変わらずイケメンすぎ!今度紹介してよ~」

「まぁ、美姫は特別ね?」

「ありがとう~!」


隣で目をハートにする美姫。


けどそれは美姫だけじゃなくて、


女子達はみんな車で去ったお兄ちゃんを見ていた。


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