たった一人の甘々王子さま
3限目、体育館で授業。
「はい、集合!いつものように出席番号順に並べよ!」
吉野先生の声掛けでみんなが集まる。
「今日は、みんなの希望でって言うか、C組の希望だな?バスケになりました。D組の皆はバレーがよかったかもしれんが今日は勘弁してくれ。さて、田所先生。あとは宜しく。」
吉野先生の挨拶が終わり、優樹の出番。
「はい。皆さん、今日は吉野先生がおっしゃる通りバスケになりました。体育委員サンと共に準備をしました。自分も大学はバスケ部で、皆さんさえよければ一緒にプレーしたいと思います。では、準備運動から始めます。」
準備運動のラジオ体操を行い、男女別にチームを作り、対戦していく。
優樹は背も高いこともあり、男子チームの助っ人にも駆り出された。
女子生徒の声援があったのは言うまでもない。
「センセ!こっち、パス!!」
優樹に声をかけたのはCクラスのバスケ部員、遠藤君。彼は優樹よりも背が高い。
優樹がパスを出したいときに、パスを出しやすいところに必ず手を上げてくれる。
「はい、遠藤君!」
優樹のパスを受け取り、遠藤君はドリブルで数歩前に。フェイントで相手を交わしシュート。
「キャー遠藤くん格好いい!!!」
「優樹ちゃん素敵!今度はシュート決めてね!」
などと、黄色い声援。優樹には懐かしい。
「はい、試合終了。次のチームコートに入ってください。」
優樹が促し、吉野先生も協力してくれるので女子チームの試合が始まる。
「優樹ちゃんもこっち入って~!」
「男子の試合ばかり参加してズルい!」
色々注文が入るが、
「お前らのままごとバスケに田所先生が入ったら大差でどっちかが負けるぞ?」
「やっぱり、現役バスケ部はこっちのチームでプレーしなきゃ。お前ら堪能できないだろ?」
「イヤー!!一緒にバスケするの~!!」
男子と女子の物言い合戦が繰り広げられる。この光景も懐かしく思う。
優樹は女子高だったのだが........
「田所先生は、共学だったの?」
たまたま隣に座った女子生徒に声をかけられた。
「そうだよ。中学高校共にね。」
「女子校?じゃあ、先生モテたでしょ?格好いいし。あ、彼氏は今いるの?」
やっぱり、現役高校生。
恋バナ大好きですよね。
「みんな、恋バナ好きだよね~。」
「もちろん!エネルギー源だよ!女の子は恋しなきゃね!で、センセ彼氏は?いるの、いないの?」
「ノーコメントは?」
「受け付けません!」