たった一人の甘々王子さま
9 海外出張と留学


優樹の教育実習も終わって秋晴れのある日、優樹は父親から電話をもらう。


『優樹、今後の進路話をしたいのだが会えないだろうか?出来れば、会社まで来てほしいのだが..........』


『それって、浩司も一緒に?』


『まぁ、そうだな。彼の今後についても話しておくべき事があるな。優樹の都合のいい日を川村まで連絡を入れておいてくれ。では、また。』


『え?ちょっと、父さん!』


『プーッ、プーッ、プーッ――――』


父親の電話は切れてしまった。




あの時はまだ大学にいたので、残りの講義を受けてバスケで汗を流し、スッキリしてマンションに戻った。


「ただいま~」


と、優樹が言っても返事は来ない。
浩司はまだいないのだから。
今の時間は午後7時半。


優樹の教育実習が終わってから、浩司の仕事は急に忙しくなってきたのだ。
今まで少なかった残業や出張が急に増えた。泊まり仕事も増えてきた。


1年半同棲してきて、はじめて訪れる一人の日々。
忙しいのにも関わらず食事の準備をしてくれる浩司に申し訳なくて、優樹はある提案をしたのだ。





それはある休日。


『ねぇ、浩司。』


『なに?優樹のお願いですか?』


『まぁ、そうとも言う。』


リビングのソファーに二人ならんで座り、寄り添いながら優樹は語りだす。


『あのさ、自分さ、教育実習も終わったし、提出するレポートもキリがついたんだよね。で、そろそろなんだけど........って言うか、今更なんだけど......自分が料理の担当に......なってもいい?』


優樹の提案に浩司は目を見開く!


『え?ほんと?優樹が俺のために作ってくれるの?嬉しいねぇ~!!』


隣に座る優樹を抱き締める浩司。
もちろん、可愛い優樹へのキスは忘れない。


『うん。最近さ、少しずつだけど、簡単なものなら作れるようになったし?........もしさ、結婚して、子供できたら自分がご飯の準備しなくちゃダメだしさ。だから、今のうちから慣れておこうと思ってね?どうかな?』


頬を染めながら浩司を見つめる。
そんな優樹にまたキスをする。


『優樹..........ほんと、女の子らしくなってきたね。良いよ、優樹の手料理楽しみにしてる。あ、もし、俺が仕事で帰りが遅いときは無理して作らなくてもいいからね。じゃあ、そんな優樹にお礼ね。』


と、そのままソファーに押し倒されて、優樹は愛される。
繋がり合ったままの状態で、ゆっくり腰を揺らされる。
優樹は浩司から与えられる刺激に悶え喘いでいると


『俺が疲れて帰ってきた時は、今みたいにご飯よりも優樹の事、食べさせて。ね?』


なんて、耳元に落ちる浩司の爆弾発言。
甘い言葉に慣れてきた優樹でも、今だ恥ずかしい言葉もある。
優樹の顔は耳まで真っ赤だ。


『優樹、可愛い。愛してるよ。』




リビングのソファーをみると、あの時の事が思い出される。
料理を作るって言っただけであんなにも愛されるとは思わなかった。


激しいと言うよりはゆっくり、じっくりと愛される感じ。
離れている間も寂しいなんて思わせないように。



「さて、晩御飯の準備!今日は、ハンバーグにしよっと。」



浩司とお揃いのエプロンをつけて、準備に取り掛かる。
準備をしながら父親との電話を思い出す。


「父さんと会うの、いつがいいかなぁ......」


と、玉ねぎを切りながら呟き


「浩司に相談したほうがいいかな?」


と、全ての材料を捏ねながら呟き


「俊について来てもらうか......」


と、形成しながら呟く。


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