たった一人の甘々王子さま
父親と会う約束の金曜日の朝。
優樹が目を覚まして枕元のスマホを見るとまだ6時。
隣にはもちろん、浩司が寝ている。
大好きな人の寝顔が見れて優樹は微笑む。
浩司は、昨夜も帰りが遅かったので、優樹は食事もお風呂も先に済ませて眠りについていた。
「浩司、おはよ。帰ってきたの気がつかなくてごめんね。」
『チュッ』と、触れるだけのキスをする。
疲れているのか、浩司は起きない。
「さて、そろそろ起きようっと。」
目を擦りながら起き上がったとき、優樹はパジャマのボタンが半分外されていたのに気づく。
「あれ?なんで外されて......」
自分の胸元を見て優樹は顔を赤くする。
なぜなら、優樹の肌には赤い花が幾つも咲いているから。
「うっそ!え?」
『昨日の夜にはなかったのに..........』
更に下半身に違和感が。
『まさか?』と、布団をめくると、案の定パジャマのズボンも下着も履いてない!
布団を持つ優樹の左手がフルフル奮える。
「ちょっと、浩司ぃ―――!!」
優樹が怒ると隣に眠る浩司の肩が微かに揺れている。
「クククッ......おはよ、優樹。朝から怒らないの。前にも言ったでしょ?『俺が疲れて帰宅したら優樹を食べさせて』って。だから、食べました。美味しかったよ。ごちそうさまです。」
浩司は悪びれるようすもなく、両手を合わせて『ごちそうさま』のポーズをする。
「だっ、だからって寝てるときに襲わなくても........」
優樹の顔は真っ赤。
もちろん、耳まで。
最近の優樹は、浩司に温もりを与えられて、だんだんと女の子らしい反応を見せるようになってきた。
「あれ?優樹、覚えてないの?夜中、俺が布団に入ったら目が覚めて、優樹から抱きついてきたんだよ?で、『抱いていい?』って聞いたら『いいよ』って言うから。ちゃんと合意の上の情事です。」
なんて言いながら浩司の右手は優樹の中心に触れる。
中指で撫でると甘い密がトロッと溢れ出て優樹の口から可愛い声も漏れる。
「ンッ......ちょっ......こ....じっ..........やっ.........」
「優樹........もう一回、食べていい?」
で押さえた優樹は『コクコク』と頷くだけ。
浩司の愛情は心地よくて、優樹の心を柔らかくする。求められると拒否できない。
指で愛されるだけでは物足りなくなる。
浩司の事をもっと抱き締めたくなる。
ゆっくりベッドに組敷かれた優樹は
「浩司ぃ......もっと..........」
優樹が甘えた声で呼び、懇願する。
浩司もそれに答えるように深い口づけを落とす。
「優樹........愛してるよ。」
浩司は、優樹の身体を優しく包む。
優樹も浩司の背中に腕を回す。
浩司の中心がゆっくり、ゆっくり、優樹の中を味わうように動く。
繋がった場所から甘い痺れが伝わる。
速度は一定なのに、甘い痺れは強くなる。
浩司の昂りが奥まで届くと、優樹も気持ち良さそうだ。
ふわふわした気持ちよさが続いて、優樹の喘ぎ声も艶が出る。
「優樹......ごめんな........」
与えられる快楽に溺れた優樹に浩司の言葉は聞こえていない。
『浩司?何て言ったの?』
そう思っても、言葉になんて出来ない。
浩司も優樹の唇を塞いでしまうのだから。
浩司が中と蕾を同時に刺激を与えると優樹の腰が震え、すぐに達した。
浩司も後を追うように優樹の耳元で呻き絶頂を迎える。
優樹は愛し合ったあと、しばらく自分の中にいる浩司に声をかけた。
「.....こう....じ?ど....した......?」
「ううん、なんでもないよ......さ、シャワー浴びたら、朝ごはんの準備しよっか?」
ゆっくりと優樹の中から出ていく浩司は、どこか寂しげだった。