たった一人の甘々王子さま
「優樹、緊張してるの?」
車のなかで浩司が問いかける。
「そ........そんな訳ねーし!」
精一杯強がる優樹。
「優樹......また言葉遣いが昔に戻ってるよ?そんな時は素の優樹でしょ?俺の前では良いけど、パーティー会場ではそれなりに頼むよ?..........わかってる?優樹は田所コーポレーションのお嬢様なんだからね?」
「うっ......」
「『うっ』じゃないの。少しの間でいいから、しおらしくね?」
「あぁ~無理かも....よ?」
何て答える優樹に『仕方がないね......』と、浩司が優樹にちょっとイタズラをする。
隣に座る優樹の足下にしゃがみ込み、
「 暫く動かないでよ?」
と、優樹のドレスを捲り上げて両膝を割り、スカートのなかに頭をいれる。突然の事で優樹も目が点。
「は?ちょ......浩司ッ!!うわっ!
ヤッ!........ンンッ!」
「優樹がしおらしくなるように、俺のって印付けるの。ほら、足閉じない。」
そう言いながら1つ小さな花を内腿に咲かせた。
「ヤッ!浩司ッ......」
スカートの中でされることに驚いてぎゅっと足を閉じようと浩司の顔を内腿で挟んだ。
が、さらにその動きが浩司を煽ったようで、
「........優樹ごめん、もう1つキスしたい。」
スカートの中からくぐもった声が聞こえる。
「ヤダ!早く出てこい、エロ大王!」
更に内腿を締め付ける。と、
「優樹、ギブアップ!」
浩司が優樹の膝をポンポン叩きながら根を上げる。
「もう、キスしない?」
「はい、しません。」
「信じるからね?」
ゆっくりと力を緩めて浩司の顔をスカートを、捲り上げての中から出す。
が、一瞬の隙に浩司の唇はもう1つ花を咲かせた。
「はい、しおらしい優樹の出来上がり。」
「ンッ!......浩司の意地悪....もぅ、ヤダ.........エロエロ大王..........」
優樹の顔は恥ずかしさと悔しさでいっぱいに。『キッ』と浩司を睨んでもいつものように微笑まれるだけ。
「うん、可愛い。ほんと、少しの間でいいからね。挨拶がすむまでだから。」
『さぁ、到着だよ。』
さっと優樹の手を取り、エスコート。
慣れた手付きが優樹の頬を染める。
周りには綺麗に着飾った女性たちがたくさんいた。その隣にはまた素敵な男性がエスコートしている。
年配のカップルもたくさん。
こっちに来てから何回か参加させてもらってはいるが、優樹は一向に慣れる様子はなくて........
逆に緊張するばかりだ。
何処ぞのお偉いさんだと思われる方達と挨拶をしていく。
優樹もひきつりながらなんとか笑顔を保ち頷く。
時には会話も交わしながら。
一人終われば、また直ぐ後ろに控えていた大人達に囲まれる。
挨拶しても、なかなか終わらない。
ウェイターがシャンパンを持って来たのだが、飲む機会がなくただ持ったまま。
浩司の左腕に絡ませた右手が、『キュッ』と浩司の服をつかむ。
その仕草に気がつかない浩司ではない。
自身のグラスをスッとウェイターに渡し、優樹のグラスも取り上げて渡す。
その時、ふと耳元に唇を寄せて『エドとエリーが来たよ。もう少しだけ頑張って。』と、周りに聞こえない小さな声で優樹に言う。
もちろん、優しく微笑みながら。
たったそれだけの事なのに、優樹は嬉しくてまた頬を赤らめる。