たった一人の甘々王子さま
クリスマスイブ当日――――――
エリーの家族と過ごした楽しかったクリスマスパーティーから数日後の今日。
目覚めてからの優樹はまだベッドの上でゴロゴロ中。
暖房が効いているので、寒くはないのだがちょっとの静かさが寂しく思える。
昨夜のこと――――――――――
『優樹、本当にごめん!』
帰宅早々、浩司が両手を合わせて頭を下げた。
リビングで寛いでいた優樹にはちんぷんかんぷん。
今夜は早く帰宅したとちょっと嬉しく思ったのに。
『え?何かあった?』
まぁ、そう聞くしかないだろう。
ソファーに寝そべっていたので取りあえず座り直す。
浩司も済まなそうな表情で優樹の足元にしゃがむ。
『明日のことなんだけどね、午前中に会議が入ってしまったんだよ.......そこで片が付く筈なんだ。だから、明日のデート、昼過ぎ.......もしかしたら夕方からでもいいかな?』
優樹の手をとって上目使いで予定変更を促す。
『は?マジで?』
優樹の眉間に皺が出来た。
『.........まぁ、仕事だし。.........浩司も大変だし。悪くないし。...........父さんのせいだろう?.........許さん。.........楽しみにしてたのに。』
優樹の怒りの矛先が父親に向かった。
「別に気にしてないし.......」なんて素振りをしていたが、いざそう言われると嬉しくないもので.....
『だからね、優樹。明日はホテルで待ち合わせしよう?丁度最後の会議は同じホテルなんだよ。だから、お泊まりの準備もしてきてくれる?』
待ち合わせの時間とホテルまでの地図が書いてあるメモを浩司は優樹の手の中へ。
『そのかわりといってはなんだけど.......今夜、償うから。ね?』
浩司は包み込んだ優樹の手をとったまま立ち上がる。
『は?いいよ、別に。』
つられた優樹は嫌な予感がして遠慮する。
掴まれた手を振りほどこうとしたのだが、出来る筈もなく.........
『遠慮しなくてもいいんだよ?』
優しく微笑んだ浩司に引き摺られていかれたのは...........
やっぱり、お風呂場で..........
『ちょっと!放せって!』
『はい、今さら照れないの。』
優樹はいつものパターンで浩司に包まれて愛されるはめに。
『「ゴメン」の代わりがコレって嬉しくないし.........』
湯船に浸かりながら優樹が悪態をつけば
『たくさん感じていたのは誰でしょう?』
浩司も負けずと言い返す。
優樹も照れと呆れでそれ以上何も言えず。
身体が温まったところで寝る準備。
ベッドへ移動した途端、来ていたバスローブの紐を解かれて脱がされた。
『明日の朝、早いんだろ?もう寝ろって!』
抵抗しても、笑顔で追い詰められる。
『優樹の事を充電しておかないと明日、戦えないから。』
意味がわからないことを呟きながら浩司の「もう1回」が始まった。
が、流石に明日の仕事を思えば早く寝た方が良いのも確かで......
浩司が優樹の中から出たところで強制的に布団に繰るんで
『浩司.....わかったから、早く寝ろって.....』
と、浩司を寝かせたのだった――――――